結核蔓延度から考える透析患者へのIGRA検査による潜在性結核診断・治療の意義
吉藤歩
医学部・感染症学教室 専任講師
結核蔓延度から考える透析患者へのIGRA検査による潜在性結核診断・治療の意義
<研究概要>
2022年には世界で推定1,060万人が結核に感染し、130万人が死亡している。日本では結核の罹患率は10万人あたり8.2人であるが、タイでは176.0 、ベトナムでは155.0と依然として高蔓延状態が続いている。 また、透析患者では、透析導入後、結核の発症率が一般人口と比較し、10~25倍となることが知られている。透析患者が結核を発症すると時間と場所を共有する他の透析患者への空気感染伝播や重症化リスクが高いことが知られている。
そこで、本研究では、結核の蔓延度が異なるタイ、ベトナム、ベルギー、日本の透析導入患者に対して、抗原特異的インターフェロン-γ遊離検査(IGRA)という血液検査を用いることで、結核に感染しているが、発症していない潜在性結核感染症の状態を早期診断、早期治療を行うことの意義を、医学的および医療経済学的視点から明らかにする。
(所属および職名は2024年3月時点のものです)