AIとの対話による問題解決場面における心理過程の解明
菅さやか
文学部人間科学専攻 准教授
AIとの対話による問題解決場面における心理過程の解明
<研究概要>
人が対話型AIとも理解を共有し、良好な関係を築いたり、現実を認識するための手がかりとして対話型AIを信頼したりすることができるのか否かを明らかにすることを目的として調査を実施した。対話型AIのひとつであるChatGPTの利用者を対象に調査を実施した結果、人はChatGPTと理解を共有できたという主観的共有的リアリティを中程度に感じており、主観的共有的リアリティが高いほど、ChatGPTと意気投合したという感覚や、ChatGPTを情報源として信頼できると感じる程度が高くなることが明らかになった。また、ChatGPTがよく応答してくれたと思うほど、ChatGPTとの意気投合感やChatGPTへの信頼感が高くなるという直接的な影響関係は、ChatGPTとの主観的共有的リアリティの程度に部分的に媒介されていることも示された。以上の結果より、人は対話型AIとも主観的共有的リアリティを確立することができ、その結果、対話型AIと良好な関係を築き、対話型AIを現実を認識するための手がかりとして信頼することができることが明らかになったと言える。
(所属および職名は2024年3月時点のものです)