軟骨伝導補聴器格納式義耳の音響的安定性の最適化研究~小耳症患者さんの笑顔と自信と良い聞こえのために~

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西山崇経
医学部・耳鼻咽喉科 専任講師

軟骨伝導補聴器格納式義耳の音響的安定性の最適化研究~小耳症患者さんの笑顔と自信と良い聞こえのために~

<研究概要>
小耳症は約1万人に1人の有病率とされている先天性疾患であり、多くの症例で耳介奇形と外耳道閉鎖を合併するため、審美面と聴覚という機能面の両側面が治療対象となる。耳介奇形の治療は従来から耳介形成術による手術加療が主流であるが、その完成度は高くないことも多い。また、外耳道閉鎖に対する聴力改善手術の成績は良好とはいえず、世界的に小耳症に対して非侵襲的に審美・聴覚両面を同時に改善させる治療法は確立していなかった。そこで我々は、3Dプリント技術を応用した、高精細な義耳と2017年に本邦から発明された軟骨伝導補聴器という新たな補聴器を融合することで、審美・聴覚両面を同時に改善させる革新的治療方法を考案し、2021年9月より軟骨伝導補聴器格納式義耳 (APiCHA) を用いた前向き臨床研究を世界で初めて開始した。しかしながら、軟骨伝導補聴器単独時よりも、APiCHAを併用した際に、ハウリング音と呼ばれる雑音が大きくなる可能性があるため、小耳介モデルを作成しハウリング音の発生状況を検証した。

(所属および職名は2024年3月時点のものです)