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研究者紹介

19世紀・20世紀の日本を対象として、社会の構造をを史料にもとづきに分析し、現代社会にも通じる問題の根源を探っています。歴史学を通じて現在の不条理な抑圧を理解し、乗り越える手がかりを見出すことを目指しています。

研究業績紹介

■近代日本の貧困・労働・家族についての研究
日本の近世・近代移行期の混乱によって生じた貧困や、諸個人が貧困から逃れるためにどのような労働の形態をとったのか、またそれに応じた家族形態はどのようなものであったのか。その反対に、労働・家族形態は、貧困の形態にどのように影響したのか。社会の編成原理の表出としての地方制度の構造(テーマ2)と、ジェンダー史の視角を参照軸としながら、研究をおこなっています。
―「逓信省における女性の雇員と判任官 : 貯金部局を中心に 1900年~1918年」(『国立歴史民俗博物館研究報告』235、2022年)
―「人びとはどのように恤救規則にたどり着いたか ― 明治期群馬県の事例を中心に 」(『三田学会雑誌』113₋3、2020年)
■近世・近代移行期日本の村落社会史の研究
朱として関東農村をフィールドとして、近代社会形成期の日本における政治権力のあり方を検討してきました。その後、諸個人の取り結ぶ社会関係の諸相が、近世の「村」から近代の「部落」へと如何に引き継がれ、また引き継がれないのかの研究をおこないました。
―『明治地方自治体制の起源』(東京大学出版会、2009年)
―『日本近代村落の起源』(岩波書店、2009年)
■歴史学方法論・史学史
近代日本における歴史学の形成過程を、明治政府の歴史編纂事業や、記録管理(アーカイブズ)の歴史の研究を通じて検討しています。また、そうした 史学史研究を踏まえ、「歴史を書くとはどのような営みなのか」という視点から、歴史学の方法についての研究をおこなっています。
―『歴史学はこう考える』(ちくま新書、2024年)

研究の応用領域

・近代日本史学史
・近世・近代日本村落社会史
・日本史

社会的意義

・雇用と昇進における歴史的なジェンダー格差を明らかにすることで、女性労働史の理解を深め、ジェンダー平等を促進します。
・歴史的な貧困救済のアプローチを比較することで、社会福祉制度の変化を理解し、現在および将来の政策立案に役立ちます。
・歴史学における言語の用法を精査することを通じ、離籍的な社会の基盤づくりに貢献します。
  • 近代日本の「生きづらさ」を探る Looking into the …

    松沢 裕作/Yusaku Matsuzawa 経済学部 教授 Professor…

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