0

研究者紹介

13世紀から19世紀のエジプトを対象に、土地制度・水利行政・灌漑システムを中心とした社会経済の変容を研究しています。特にマムルーク朝からオスマン朝にかけての文書史料の分析を通じて、エジプトにおける水ガバナンスと社会秩序の構造を明らかにしてきてきました。近年は、カイロ歴史地区の歴史的建造物のデジタル・アーカイブ構築にも取り組んでいます。地域研究コンソーシアム賞、日本学術振興会賞、地中海学会ヘレンド賞を受賞。

研究業績紹介

■支配の移行期における土地制度の変容と連続
・研究目的:マムルーク朝からオスマン朝にかけての土地制度の変容と連続性を、文書史料に基づいて解明する
熊倉和歌子『中世エジプトの土地制度とナイル灌漑 』東京大学出版会 2019年2月
■ナイル灌漑と水利行政の歴史的変容
・研究目的:中世から近代にかけてのナイル灌漑と水利の制度的管理の変遷を通じて、水と政治・社会の関係を解明する
■カイロ歴史地区の文化遺産デジタル・アーカイブ構築
・研究目的:カイロ歴史地区に残るイスラーム建築物のデジタル・アーカイブ構築を通じて、都市の記録保存と歴史分析の手法を開拓する
Database of Historical Monuments in Islamic Cairo, https://islamic-architecture.aa-ken.jp/
Qalawun VR Project, https://qalawun.aa-ken.jp/

研究の応用領域

・中東・北アフリカ史

社会的意義

1. 水資源管理や土地制度に関する歴史的知見の蓄積
中近世エジプトにおける水利や土地制度の具体的運用を明らかにすることにより、現代の資源管理や制度設計を考える上で参照しうる歴史的な知見を提供する。

2. 制度と社会の相互作用への理解の深化
法的文書や行政記録の分析を通じて、制度が人々の生活や社会秩序の形成にどのように関わっていたかを示し、社会と制度の関係性を歴史的に把握する視座を提示する。

3. 歴史的都市遺産の保存と利活用への貢献
カイロ歴史地区の建造物に関するデジタル・アーカイブの構築により、文化遺産の保存と研究活用の基盤整備に寄与する。
  • 現場から考える人と社会と環境の歴史Delving Into the…

    熊倉 和歌子/Wakako Kumakura 経済学部 教授 Professor…

    視聴する